Beautiful Wild Soul

東京で働いていたところから、偶然、馬を知り仕事を辞め馬を追いかけ点々とする日々に。東京(12年)→与那国島(1年)→カナダ(半年)→北海道(3か月)→St Vincentへ!(今ココ)Liberty Trainingを学ぶため馬の学校の研修生に。#LibertyTraining #CarolynResnickMethod #StVincent #HorseSchool #WorkingStudent

Lady G

 

初めのころは、彼女の馬房に入ってブラシするのがすごく怖かった。馬房に入るとき、何度呼んでもお尻を向けて、100%拒否モードだし、それでも入るとブラシを持った瞬間にもう、目が完全に怒っている。しっぽはぱたぱた、後ろ足をバタバタさせて、常に動き回り、いつ足が回ってくるかいつも注意していなければいけなかった。足が来ないように、前の方にいると、今度は首が回ってきて、噛まれるのに注意しなくてはいけなくて、正直、朝のルーティーンのブラシの時間は、私にとっても彼女にとっても、いつも苦痛で一体どうすればいいのか、いつも探っていた。

 

もし、私が許されるなら、彼女にやってみたいことがいくつもあった。

違うブラシ(もっと柔らかいやつ)を使ってみるとか、朝じゃなくて、もっと違うタイミングで(彼女が一番リラックスしているとき)やってみるとか、違う場所でやってみるとか、ブラシの仕方を変えてみるとか、極端な話やめてみるとか。彼女の苦痛の原因を知りたかったし、永遠に代替法をトライしてみたかった。

でも、自分の馬じゃないから、できないんだな。

 

そんな時、自分の安全を少しでも確保したかったのと、そして、何より彼女に私は悪い人、敵じゃないと分かってほしかったから、彼女と何とか仲良くなろうとしていた。

一日の仕事がすべて終わって、あとは夜飼いを残すのみっていうとき、私は仕事が終わって一息ついて自分の部屋に戻る前、いつも彼女の馬房の前で彼女を手でブラシしていた。馬房の前に立ち、最初は目と目の真ん中を少しづつ触れるようになった。このころ初めて知ったけど、彼らはあまり触らせてくれない。今まで知っている馬はたいてい体のほとんどの場所を触らせてくれた。でも彼女は最初から触らせないオーラがあった。目と目の間でさえ、やっと触れるようになった。そこから毎日、だんだん触れる範囲を広げていった。でも少しでも耳の方や、首の嫌なところを触ると、噛むふりで威嚇。その動きの速いこと。でもその割には、痒い場所がある(いつも顎の下)と、首をがんがん伸ばしてきて掻いてほしそうにしているところが本当にかわいかった。動きが乱暴で、それが嫌だと私が伝えると、不服そうにしていたけど、私の気持ちは彼女は分かっているような気がした。私と彼女のリラックスした自然な意思の疎通がその時間にはあったと思う。そのうち、この時間の噛むふりは、ふりであって、噛まないと分かった。首、き甲まで触れるようになった。その時間になると、私を待つように、馬房の前に首を出して、私が入ってくる方向をいつも見ているようになった。ごはんも食べずに、私を待っているような姿がいつも強烈にかわいかった。

 

そんな彼女が、子供を産んだ瞬間に、激変してしまった。子供を産んだ直後にカリカリするのはたいていの馬がそうなのかもしれないけど、彼女の生き生きした個性はなくなり、200%母になった。自分の子供を守ること、育てること、が彼女の世界のすべてになり、個性的で乱暴でかわいい彼女はまるでどこかに行ってしまった。

 

こんな彼女を見ると、正直、複雑な気持ちになった。私から見ると、子供を産んで本来の彼女が100%いなくなったように思えた。本当の彼女が、母という存在にとって代わってしまった。もう前の彼女はもうどこにもいない。

なぜ複雑な気分になるかというと、彼女を見ていると自分を思い出すからだ。なぜか、産んだこともないけど、私も子供を産んだら、彼女のようになるだろう。私はそういうタイプだろう。誰かと付き合ったりして、誰かを強烈に好きになると、本来の私からかけ離れたタイプになってしまう。私はそういうタイプなんだ。残念なことに。

 

ちゃかちゃかした子供に振り回され、はらはらしながら追いかけまわしている彼女を見て、そんなことを思って複雑だった。でもきっと、私が彼女を見ていたのは、短くてもっと時間がたてば前の彼女が戻ってきたよね。そう思いたい。子供を産んでも、誰かと付き合っても、要するに何があっても、本来の私のままでいたい。できれば。

 

ps:彼女はヤンママで、スタイル抜群、がつがつしてて、乱暴で、表現がストレートで、食べ物にあまり興味がなくて、隠れた人懐っこさがあったよ~、だれがこんなかわいい子を好きにならないか。

 

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↑放牧地で初めて近寄ってきてくれた時。この時は、ご飯の時間でもなんでもなくて、放牧地で作業する私を遠くからずっと見ていたのは知っていたけど、突然近寄ってきてくれた。私には挨拶に来てくれたように思えて、めちゃめちゃ感動した。2か月フルに世話してここまできたって思った。いろんな苦労が報われた瞬間。この穏やかな表情の彼女が素の彼女だったと思う。